この人で良いのか?納税者の目を開く公会計のお話

活動報告

「子どもにツケを回さない行政」を考えた一日

2026年5月31日、福岡市博多区で福岡減税会主催の講演会「この人で良いのか? 納税者の目を開く公会計のお話」を開催しました。

講師には、公認会計士・税理士であり公会計研究所代表の吉田寛先生をお迎えし、特別ゲストには世界で初めて公会計研究所の会計方式を自治体で実践した旧福間町長・初代福津市長 池浦順文氏をお迎えしました。

今回のテーマは、「子どもにツケを回さない行政」

税金を集めることではなく、「税金をどう使うのか」を納税者の立場から考える、大変学びの多い講演会となりました。

Screenshot

吉田寛先生講演


公会計は「納税者の目」を開く

吉田先生は長年にわたり、「子どもにツケを回さない」という理念のもと、公会計の重要性を全国で伝え続けています。

現在の自治体会計は、現金の出入りを管理することが中心であり、資産や負債、将来世代への負担、そして税金がどのような成果につながったのかは見えにくい仕組みです。

公会計は、そうした行政コストや事業成果を「見える化」し、納税者自身が行政を評価できるようにするための仕組みです。

講演タイトルでもある「この人で良いのか?」

という問いは、政治家個人を批判するものではありません。

税金を預ける相手として、本当に任せてよい行政運営が行われているのか。

その判断を納税者自身ができる社会を目指すことこそ、公会計の本質であることを学びました。

池浦順文元福津市長講演

「測定なくして改善なし」

吉田先生の理論を、全国で初めて自治体として実践したのが池浦順文元福津市長です。

講演で最も印象に残った言葉は、「測定なくして改善なし」

行政も企業と同じように、現状を数字で把握しなければ改善はできません。

吉田先生が作成した貸借対照表には、「将来の税金」という考え方が示されました。

公共施設整備などによる借入金が将来世代へどれだけ負担を残すのかが数字として見えるようになったことで、「この事業には、ここまでしか支出できない。」

という行政判断が可能となり、財政改善へつながったそうです。

また、貸借対照表だけでなく、保育所や学校給食などの事業別成果報告書を作成し、

  • 税金をいくら使ったのか
  • 市民一人あたりの負担はいくらか
  • どのような成果があったのか

を見える化したことで、行政評価が可能になったことも紹介されました。

数字を継続して測定し、改善を積み重ねる。

その考え方が、公会計改革の原点であることを改めて学びました。

「子どもにツケを回さない行政」

池浦氏は、公会計を「目的地へ向かうための地図やカーナビ」に例えられました。

現在地が分からなければ目的地にはたどり着けません。

行政も同じように、財政の現状を継続して測定し、行政を評価し続けることで、未来世代へ負担を残さない行政運営ができる。

その目的地こそ、「子どもにツケを回さない行政」なのだという言葉が、とても印象に残りました。

理論と実践を結ぶセッション

池浦元市長の講演後は、吉田寛先生、池浦元市長、そして当時、公会計導入を現場で支えた福間町役場の元部長にもご登壇いただき、三者によるセッションが行われました。

会場からは、公会計導入時の苦労や現在の福津市の取り組み、行政評価のあり方など、さまざまな質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。

その中でも印象的だったのが、現在の福津市政についてのやり取りです。

現福津市長・福井崇郎市長が市長選挙で掲げた住民税減税の公約について質問があり、池浦元市長は、水害対応などを理由に減税が見送られた経緯に触れながらも、

「そもそも3%の住民税減税という公約には無理があったのではないか」との考えを述べられました。

地方税を減税すると、市税収入だけでなく地方交付税への影響も考慮しなければならず、自治体財政全体への影響は決して小さくありません。

その上で、「選挙で当選するためであっても、実現できない公約を掲げるべきではない。」と率直な見解を示されました。

一方で、この発言は減税そのものを否定するものではありません。

むしろ、公会計によって行政コストや事業成果を正確に把握し、歳出を見直した上で持続可能な行政運営を行うことが重要であり、その先に住民負担の軽減があるという考え方が、講演全体を通して一貫していました。

私自身も、「地方から減税」を目指すのであれば、まずは行政を正しく測定し、評価し、歳出改革を進めることが重要であると改めて感じました。

講演から広がる取り組み

今回の講演会では、宗像市議会の齋藤元孝議員が吉田寛先生から納税者保護誓約書を受け取り、署名されました。

講演後には、ご自身のXで、「納税者保護誓約書にサインしました。これからも、保守自由主義者の議員として、全ての増税に反対します。」

と発信されています。

講演で学んだことが、その場限りではなく、議員としての行動や発信につながっていることを大変うれしく思いました。

地方議会で、公会計や行政評価の考え方が少しずつ広がっていくことを期待しています。

ご参加いただいた皆さまへ

今回の講演会には、多くの皆さまにご参加いただきました。

また、地方議会で行政改革に取り組まれている議員の皆さまにもご参加いただきました。

  • 吉松もとあき 福岡県議会議員
  • 和田あきひこ 福岡市議会議員
  • 大久保むが 北九州市議会議員
  • 齋藤元孝 宗像市議会議員

ご多忙の中、ご参加いただき誠にありがとうございました。

地方から行政改革を進めるためには、行政だけでなく、議会、市民が同じ情報を共有し、議論を重ねていくことが大切です。

今回の講演会が、そのきっかけの一つになれば幸いです。

懇親会

講演会終了後は、吉田寛先生、ご参加いただいた皆さま、そして福岡減税会のメンバーで懇親会を開催しました。

福岡の美味しい料理を囲みながら、講演では時間の都合で話しきれなかったテーマについても活発な意見交換が続きました。

公会計、行政評価、地方財政、、、

そして「地方から減税」!!

立場を超えて語り合える時間は、新たな学びやつながりを生む、とても有意義なひとときとなりました。

おわりに

今回の講演会を通じて、改めて心に残ったのは、「測定なくして改善なし」という言葉でした。

行政評価も、公会計も、歳出改革も、すべては現状を正しく測ることから始まります。

税金の使い道を見える化し、その成果を検証することで、未来世代へ負担を残さない行政運営につながる。

私たち福岡減税会も、「地方から減税」を掲げる団体として、公会計、行政評価、情報公開を通じて、納税者の視点から行政を考え、地方からより良い政策提案につながる活動を続けてまいります。

ご参加いただいた皆さま、そして吉田寛先生、池浦順文元福津市長をはじめ、ご登壇いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。

最後に、、、

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